昨年、80歳を前にして、猛暑という気候が続いたこともあり、外での農作業や庭仕事は午前か午後のどちらか半日に減らしました。
78歳までは、一日中張り切って仕事が出来たのですが、年齢による体力の衰えには勝てないものですね。また、妻も私も運転技術には特に問題はなかったのですが、80歳の免許更新の機会に、二人揃って運転免許証を返納しました。車が無い生活は、不便もあるだろうと予測はしましたが、「万が一、人身事故を起こしたら取り返しがつかない」という重い決断でした。車を使わない生活は、最初の頃は戸惑いや不便さがありましたが、今ではなんとか新しい暮らしぶりにも慣れました。今回は、この伊豆の山の中で「車のない生活」についてお話いたします。
運転免許証返納後の新しい暮らしぶり
以前は、スーパーでの買い物や外食に始まり、散髪、ホームセンターでの農作業や大工仕事関係の品物の購入は、自分の都合の良い時に行っていました。旅行や東京に出かける時は、伊豆高原駅の駐車場を利用していました。
車がなくなってからの食品の買い物は、別荘管理会社が運営する週2日(午前・午後)の決まった時刻に運行される伊豆高原駅行きの買い物バスを利用しています。また、週に1回来る「マックスバリュー」の巡回販売も利用できます。さらに、生協の「おうちCO-OP(コープ)」を利用することで、必要な商品のほとんどが購入できるようになりました。特別な商品はこれまでと同じように、インターネット販売で購入しています。ホームセンター・カインズでの買い物は、顔なじみの造園業者さんが、時々声をかけてくれて同乗させてくれますので問題解決です。
また伊豆急行線の最寄り駅までは、急な上り下りの坂があり、歩くと片道40分かかります。また困ったことに、時々子供連れの猿の集団が道路沿いに出没して危険を伴うことがあります。隣人がこのような実情を知り、都合がつくときは駅までの送り迎いをしてくれるようになりました。さらに、選挙のときは、違う隣人が投票所まで連れっていってくれます。本当に心より感謝しています。
このような隣人の好意で、「緊急事態が起きた時」とか、「他に公共の交通機関が無い時」、「隣人の都合が悪い時」は、タクシーを利用しています。結構高額な運賃になりますが、静岡県タクシー協会は、「運転経歴証明書」を提示すれば10%割引してくれます。それに加えてタクシー協会の「共通クーポン券」を購入すればさらに5%の割引になります。
運転免許証を返納したことにより、以前に比べて少し不便な生活になりましたが、これまでは軽い挨拶程度のお付き合いだったご近所さんとの距離感が一挙に縮まりました。ご近所さんの温かい心遣いに、深く感謝する毎日を過ごしています。
ピュシス(自然)には「不便や不自由」を感じさせない生活が
これまでに多くの友人や知人が、我が家に遊びに来られました。一日を一緒に過ごすと、ほとんどの人が「空気がおいしい。都会とは全然違います。」「よく眠れました。」「緑の山々に囲まれ、正面には伊豆の青い海と伊豆七島が見える贅沢な景色」「晴耕雨読の生活に憧れます。」と称賛してくれます。しかし、実際の生活環境を知ると、全員が「あー!私には住めません。」と異口同音に答えるのです。
たしかにここの生活は、車があっても不便です。村にはスーパーや商店がないので隣町まで行かなければなりません。電車は、30分に1本です。緊急医療を担う総合病院は、熱海か順天堂同大学病院(伊豆の国市)まで離れています。文化施設も有名なレストランもありません。都会から見れば「ないない尽くし」の生活環境 です。しかし,視点を変えてみればどうでしょう。電車が1分遅れただけで車掌が平謝りするほど時間に追われ、欲しいものはお金さえ出せば何でも手に入る社会。また、総合病院がいくらあっても、救急車の受け入れ先が1時間も決まらないこともあるのが都会の現実ではありませんか。毎日、博物館やコンサートに行かれる方は少ないと思うのですが。
ここに住んでいても、少し余分な時間とお金をかけさえすれば、都会と同じような生活は出来ます。東京のコンサートにも行けます。80歳になった私にとっては、「義務や責任に縛られたロゴスの社会」から離れて、時間に追われない自然のなかの今の生活の方があっているようです。今の環境を不便と捉えるか、あるいはそこに不便よりも自由を見出すかどうかは、どうやら個人の「価値観次第」ですね。
移住しなくても結構です。もし、ここでの生活や景色が懐かしく成ったら、いつでも遊びに来てください。
大歓迎でお待ちしています。
次回は、新しい生活習慣と生活パターンについてお話いたします。
「一日を一生と思って生きよ」酒井雄哉大阿闍梨

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