■ どこを向いても「壁、壁、壁」の氾濫
こんにちは。今月、81歳になります。みなさんは、テレビや本屋、ネットニュースで「○○の壁」という言葉を頻繁に目にしませんか?「70歳の壁」「80歳の壁」「老後の壁」、、、、、。どこを向いても「壁、壁、壁」のオンパレードです。「最近の流行り」のようです。じつは、私も80歳を前に精神科医和田秀樹氏の「壁シリーズ」を読んだ一人です。その結果、いつの間にかこの「壁」の現象にはまり込み、すっかり心を束縛されてしまったようです。まさに、催眠術にかけられたような気分でした。ちょっと物忘れをしたり、身体がだるかったり、足腰が重いと感じるたびに、「ああ、これが噂に聞く『「80歳の壁』なのか。」「やっぱり年齢には勝てないんだ」と、自分の「心身」の小さな変化や将来への不安をすべてその「壁」に結びつけては、ため息をついていたのです。
■「壁」のもつ圧倒的拒絶のイメージ。立ち止まるしかない無力感
「壁」という言葉には、目の前を完全に塞がれ、行く手を阻まれるような圧倒的な拒絶感があります。「こんなに高くて厚い壁、自分には超えるなんて無理だ」と、心が先に降参してしまっていたのかもしれません。毎日がどこか憂鬱で、何もかもを否定的に、消極的に考えてしまい、新しいことに挑戦する意欲も薄れていきました。そんな、つい先週までの私を救ってくれたのは、一番近くにいる妻の、何気ない息子へのLineの一言でした。
妻が息子に向けて送ったLineのメッセージを目にする機会があったのです。息子と妻とグループで繋がっています。そこにはこう書かれていました。「お父さんは、『壁』にはまり込んで、いろいろ心配しているけど、きわめて元気です」この文面を見た瞬間、私はハッとしました。まるで催眠術からパット目が覚めたような感覚でした。「なんだ、私は自分で勝手に『壁』という幻の枠を作って、そこにはまり込んでいただけだったのか。周りから見れば、私はきわめて元気じゃないか!」と。客観的に自分を見つめなおしたとたん、心の霧がスーッと晴れていきました。そして、80歳をすぎてからの心身の衰えは、行く手を阻む「壁」なんかではなく、人生の後半戦に現れる、それなりの方法で乗り越えることができる「ハードル」なのだと気づいたのです。
■乗り越えることができる「ハードル」
「壁」だと思うと立ち止まるしかありませんが、「ハードル」だと思えば何度でも挑戦が可能です。「少し歩幅を小さくして、自分のペースでまたげばいい」「もし引きかかってバーを倒してしまっても、またゆっくりやり直せばよい」という心の余裕と希望が湧いてきます。そのことに気づいたとたん、それまでの不安な気持ちが嘘のように吹っ切れて、すうっと心が落ち着きました。言葉の解釈一つで、81歳の私の世界はガラリと明るく変わったのです。
もし、皆さんの周りにも、世間の「壁」という言葉に縛られて、元気をなくしている方がいたら、ぜひ伝えてあげてください。「それは『壁』ではなく、乗り越えることができる、ただの『ハードル』だよ」と。私たちは、まだまだきわめて元気です。


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